会社の経営状況を確認するとき、多くの経営者が最初に見るのは「売上」と「利益」ではないでしょうか。
もちろん、どちらも重要な数字です。しかし、会社を長く安定して経営するためには、もう一つ確認しておきたい視点があります。
それが「会社の安全性」です。
その判断材料の一つとなるのが、自己資本比率です。
自己資本比率とは
自己資本比率とは、会社が保有している総資産のうち、自己資本がどの程度を占めているかを示す指標です。
計算式は、
自己資本比率=自己資本÷総資産×100
です。
たとえば総資産が1億円、自己資本が4,000万円なら、自己資本比率は40%になります。
借入金などの負債は将来的に返済する必要があります。一方、自己資本は原則として返済を必要としません。
そのため自己資本比率を見ることで、会社がどの程度、外部からの資金に依存しているのかを把握できます。
売上や利益だけでは会社の安全性は分からない
ここが経営者にとって重要なポイントです。
売上1億円の会社と売上10億円の会社を比較しても、それだけでどちらの経営が安定しているかは判断できません。
売上10億円あっても、多額の借入金を抱え、現預金が少なければ、環境変化によって資金繰りが急速に悪化する可能性があります。
逆に規模が小さくても、利益を積み上げ、十分な現預金と自己資本を持っていれば、変化への対応力が高い場合があります。
つまり、
「会社の大きさ」と「会社の強さ」は別の問題
なのです。
自己資本比率は何%あれば安全なのか
よく「自己資本比率は何%あれば安全ですか?」と聞かれます。
しかし、単純に一つの数字だけで判断することはおすすめできません。
設備投資の大きな業種と、設備をほとんど必要としない業種では財務構造が違います。創業期の会社と成熟企業でも適切な資本構成は変わります。
重要なのは、他社との単純比較だけではなく、
「自社の自己資本比率が数年間でどう変化しているのか」
を見ることです。
経営コンサルタントとして重視すること
私が企業の財務を見るときも、自己資本比率だけで会社を判断することはありません。
現預金、借入金、利益率、キャッシュフロー、債務返済能力などと組み合わせて確認します。
特に重要なのが「なぜこの数字になっているのか」です。
利益を毎年積み上げた結果、自己資本が増えているのか。
赤字が続き、自己資本が減っているのか。
積極的な設備投資によって一時的に借入金が増えているのか。
同じ自己資本比率でも、背景によって意味は大きく違います。
中小企業が取り組むべきこと
まずは直近3〜5期程度の決算書を並べ、自己資本比率の推移を確認してみてください。
そのうえで、売上高、営業利益、現預金、借入金、自己資本、キャッシュフローなども一緒に確認します。
大切なのは「自己資本比率を高くすること」そのものを経営目的にしないことです。
必要な投資まで抑えてしまえば、会社の成長を止めてしまう可能性があります。
成長への投資と財務の安全性。この二つのバランスを取ることが経営です。
まとめ
自己資本比率は、会社の財務体質を理解するための重要な指標です。
しかし、一つの数字だけで会社の良し悪しを判断するものではありません。
売上を見る。
利益を見る。
現金を見る。
借入金を見る。
そして自己資本を見る。
複数の数字をつなげて考えることで、初めて会社の本当の姿が見えてきます。
経営者が見るべきなのは、単なる「今の業績」だけではありません。
環境が変わったときにも耐えられる会社になっているか。
自己資本比率は、それを考えるための一つの重要な入口なのです。
「日々の経営・社会ニュースについての発信はこちら」として、伊藤 弘典|note

