経営会議に多くの時間を使っているのに、「結局、何も決まらなかった」という経験はないでしょうか。
売上報告、案件報告、資金繰り、採用、人材、営業状況……
重要な話題を扱っているにもかかわらず、報告だけで時間を使い切り、肝心の経営判断に十分な時間を使えていない企業は少なくありません。
そこで活用したいのが生成AIです。
AIは経営者に代わって意思決定するものではありません。
むしろ、経営者が意思決定に集中できる環境をつくるための道具として活用することが重要です。
AI活用は「議事録」だけではない
企業のAI活用は、文章作成など限定された用途から、業務プロセスそのものを再設計する段階へ移りつつあります。Microsoftの2026年Work Trend Indexでも、AIが実行部分を担うほど、人間側には判断や仕事の再設計が重要になる方向性が示されています。
経営会議でも同じです。
AIを議事録作成だけに使っていては、その能力の一部しか活用していません。
私は、経営会議では次の5つの使い方が特に重要だと考えています。
1.会議前に情報を整理する
売上、利益、資金繰り、KPI、営業状況などの情報を事前に整理し、
「前月から大きく変化した数字は何か」
「経営上注意すべき点は何か」
「会議で議論すべきテーマは何か」
をAIに抽出させます。
人間が資料をゼロから読み込む時間を減らせます。
2.経営課題の論点を整理する
例えば「売上が下がっている」という問題について、
営業件数、単価、成約率、既存顧客、商品構成など、原因となり得る論点をAIに整理させます。
重要なのは、AIに答えを決めさせることではありません。
人間が考えるべき論点を広げることです。
3.複数の選択肢を比較する
採用するのか、外注するのか。
設備投資するのか、現状維持するのか。
追加融資を受けるのか、経費削減を優先するのか。
それぞれについてメリット、デメリット、リスクをAIに整理させれば、経営者は比較検討しやすくなります。
4.議事録と決定事項を整理する
会議終了後に、
「何を決めたか」
「誰が担当するか」
「期限はいつか」
まで整理することが重要です。
議事録の目的は記録を残すことではありません。
決定を実行につなげることです。
実際、生成AIを利用した会議記録・検索の実証研究でも、会議業務の負担削減への可能性と同時に、運用ルールなど組織面の重要性が指摘されています。
5.次回会議の論点を作る
前回の決定事項と進捗をAIに整理させ、
「未完了の項目」
「遅れている項目」
「新たに発生した課題」
を次回会議の議題候補として抽出します。
これにより、毎回ゼロから会議資料を作る必要がなくなります。
本当に変えるべきなのは会議の役割
経営コンサルタントとして多くの企業を見る中で感じるのは、長い会議の原因が参加者の能力不足とは限らないということです。
多くの場合、
報告・共有・議論・判断・作業
が一つの会議に混在しています。
AIを導入する目的は、その混在した仕事を整理することです。
AIに「整理」「要約」「比較」を任せ、人間は「議論」「判断」「責任」に集中する。
これが経営会議におけるAI活用の本質だと考えています。
まとめ
経営会議へのAI活用で重要なのは、
会議時間を短くすることだけではありません。
本当の目的は、
経営者が考え、決める時間を増やすこと
です。
AI時代の経営会議では、人間にしかできない判断の価値が、むしろ高くなっていくでしょう。
「日々の経営・社会ニュースについての発信はこちら」として、伊藤 弘典|note

