ChatGPTを使う会社と、経営に活かす会社の決定的な違い

AI導入・業務改善

ChatGPTを仕事で使う企業が増えています。しかし、メールの文章作成やアイデア出しに使っているだけでは、経営改善につながる効果は限定的です。

重要なのは、ChatGPTを「便利な文章作成ツール」として使うことではありません。経営課題を整理し、業務の進め方を見直し、社員が価値の高い仕事に集中できる仕組みをつくることです。

ChatGPTが経営で注目される背景

中小企業では、人手不足に加え、経営者や管理職への業務集中が深刻になっています。

経営者が営業、採用、資金繰り、社員教育、顧客対応まで抱えている会社も少なくありません。管理職も、会議資料や報告書の作成に追われ、本来行うべき部下の育成や業務改善に十分な時間を使えないことがあります。

ChatGPTは、情報整理、文章の下書き、データの読み取り、会議準備、業務手順の整理などを支援できます。現在では、文書やプレゼン資料、表計算の作成支援、プロジェクト共有、外部ツールとの接続など、企業利用を意識した機能も広がっています。

問題の本質は「AIを使っていないこと」ではない

多くの会社が見落としているのは、ChatGPTを導入しても、仕事の進め方が変わらなければ成果は出ないという点です。

例えば、非効率な会議を続けたまま議事録だけをAIに作らせても、会議そのものの問題は解決しません。必要性の低い報告書をAIで速く作っても、無駄な業務は残ります。

まず行うべきことは、現在の業務を次の三つに分けることです。

一つ目は、人が判断すべき仕事
二つ目は、AIに下準備を任せられる仕事
三つ目は、そもそも廃止できる仕事です

この整理をせずにAIを導入すると、無駄な仕事を効率よく続けるだけになってしまいます。

中小企業が活用できる7つの業務

ChatGPTは、次のような業務で活用できます。

  1. 経営会議に必要な論点の整理
  2. 売上や利益データの分析補助
  3. 営業提案書やメールの下書き
  4. 採用原稿や面接質問の作成
  5. 社内マニュアルや教育資料の整備
  6. 顧客からの問い合わせ内容の分類
  7. 新規事業や経営戦略のアイデア整理

ただし、ChatGPTの回答をそのまま経営判断に使うべきではありません。数字、法律、契約、税務、医療など、正確性が求められる内容は、人による確認が必要です。

経営コンサルタントとしての考察

ChatGPTの最大の価値は、正解を教えてくれることではなく、経営者の頭の中にある考えを整理してくれることだと考えています。

経営者は日々、多くの情報と判断を抱えています。しかし、考えを言葉にし、比較し、優先順位を決める時間が不足しています。

ChatGPTに現状、課題、目標、制約条件を伝えることで、論点を整理し、選択肢を増やすことができます。最終的な決断は経営者が行いますが、その前段階を支える参謀として活用できるのです。

企業が今後取り組むべきこと

最初から全社導入する必要はありません。まずは一つの部署、一つの業務から始めることが大切です。

対象業務を決め、導入前後の作業時間、品質、ミスの件数を比較します。効果が確認できた活用方法をテンプレート化し、社内に共有していきます。

同時に、入力してよい情報、確認が必要な内容、最終責任を持つ人を定めなければなりません。企業向けプランでは、組織データをモデル学習に使用しないことが標準とされていますが、プランの選定と社内の情報管理ルールは別々に整備する必要があります。

まとめ

ChatGPTを使うこと自体は、もはや特別なことではありません。

これから問われるのは、ChatGPTを使って、会社の仕事の進め方をどのように変えるかです。

AIに任せる仕事、人が担う仕事、廃止する仕事を整理できた会社ほど、生産性を高めながら、人が判断や創造に集中できるようになります。

ChatGPT導入の目的は、人を減らすことではありません。社員と経営者の時間を、より価値の高い仕事へ振り向けることなのです。

「日々の経営・社会ニュースについての発信はこちら」として、伊藤 弘典|note