導入
毎月、経営会議を開いているにもかかわらず、会社の課題がなかなか解決しない。売上、利益、資金繰り、人材不足などについて話しているのに、会議が終わると現場は以前と同じ状態に戻ってしまう。
このような企業では、経営会議が「経営を前に進める場所」ではなく、「各部門が状況を報告する場所」になっている可能性があります。
利益を生む経営会議に必要なのは、資料の量や会議時間の長さではありません。数字から課題を発見し、意思決定を行い、具体的な行動につなげる仕組みです。
背景
人手不足が深刻になるなか、中小企業には、限られた人材と時間で成果を高めることが求められています。
しかし、社長や幹部が長時間の会議に拘束され、数字の読み上げや進捗報告に時間を使えば、本来取り組むべき顧客対応、業務改善、人材育成、商品開発が後回しになります。
Microsoftの調査では、非効率な会議が仕事の生産性を妨げる大きな要因として報告されています。会議そのものが悪いのではなく、目的と成果が曖昧な会議が問題なのです。
問題の本質
経営会議が機能しない最大の原因は、「報告」と「議論」と「意思決定」が混在していることです。
売上実績や案件状況など、資料を読めば分かる内容まで会議中に説明すると、重要な課題を議論する時間がなくなります。
さらに、問題が指摘されても、誰が、何を、いつまでに行うのかが決まらなければ、会社は動きません。
経営会議で必要なのは、次の流れです。
事実を確認する。
目標との差を把握する。
差が生じた原因を考える。
優先して解決する課題を決める。
担当者、期限、確認方法を明確にする。
この流れがあって初めて、数字が具体的な行動に変わります。
中小企業や経営者への影響
中小企業では、社長に判断が集中しやすい傾向があります。その結果、経営会議が社長への報告会や、社長が一方的に指示を出す場になりがちです。
しかし、その状態が続けば、幹部は自分で考えず、社長の判断を待つようになります。社長の仕事は増え続け、組織としての意思決定能力は育ちません。
利益を生む会議では、社長だけが答えを出すのではなく、参加者が事実と数字をもとに意見を出し、責任を持って行動します。
経営コンサルタントとしての考察
私は、経営会議の価値は「何を話したか」ではなく、「会議後に何が変わったか」で決まると考えています。
良い会議では、終了時に必ず、決定事項、担当者、期限、目標となる数値が明確になっています。そして次回の会議では、前回決めた行動の結果を検証します。
重要なのは、計画、実行、検証、改善を毎月繰り返すことです。経営会議は、その経営サイクルを動かす中心的な仕組みでなければなりません。
企業が今後取り組むべきこと
まず、会議の目的を「報告」から「判断と課題解決」へ変更します。情報共有は可能な限り事前資料で済ませ、会議では重要な論点だけを扱います。
議題ごとに、決めたいことを明確にすることも重要です。「売上について」ではなく、「新規商談を増やすために来月実施する施策を決める」と設定すれば、議論が具体的になります。
生成AIを使って、会議資料の要約、論点の整理、議事録の作成、未完了タスクの抽出を行う方法も有効です。ただし、最終的な意思決定と責任は、人が担わなければなりません。
まとめ
経営会議は、数字を読み上げる場所でも、社長が社員を問い詰める場所でもありません。
会社の現状を正しく把握し、解決すべき課題を選び、次の行動を決める場所です。
会議終了時に「誰が、何を、いつまでに行うのか」が明確になっているか。その行動が売上、利益、資金、顧客、人材の改善につながっているか。
この2点を見直すだけでも、経営会議は報告会から、利益を生み出す経営の仕組みへ変わり始めます。
「日々の経営・社会ニュースについての発信はこちら」として、伊藤 弘典|note

