中小企業の経営課題を正しく見つける5つの方法

経営改善

導入

中小企業の経営者から、「売上が伸びない」「社員が定着しない」「資金繰りが苦しい」といった相談を受けることがあります。

しかし、最初に挙げられた悩みが、その会社の本当の経営課題とは限りません。

売上の低迷は結果であり、原因は営業活動の管理不足、商品の価値が伝わっていないこと、既存顧客への対応不足など、別の場所にある可能性があります。

経営改善を成功させるためには、解決策を考える前に、何を解決すべきかを正しく見極める必要があります。

経営課題を正しく見つけることが重要な背景

現在の中小企業は、人材不足、人件費や原材料費の上昇、デジタル化への対応、働き方の変化など、複数の課題を抱えています。

限られた人員と資金の中で、すべての問題に同時に取り組むことはできません。

課題の優先順位を間違えると、広告費を増やしても売上が変わらない、採用しても社員が辞める、システムを導入しても業務が効率化されないといった事態が起こります。

必要なのは、目立つ問題から手を付けることではなく、経営への影響が大きい原因から改善することです。

方法1 数字の変化を時系列で確認する

まず確認したいのは、売上、粗利益、営業利益、固定費、借入金、現預金などの数字です。

単月の結果だけではなく、過去1年から3年程度の推移を確認します。

売上が増えているのに利益が減っている場合は、原価や値引き、外注費などに問題があるかもしれません。利益が出ているのに現金が減っている場合は、売掛金の回収や在庫、借入金の返済状況を確認する必要があります。

数字は、経営課題が発生している場所を示す入口になります。

方法2 経営者と社員の認識の違いを確認する

経営者が考える課題と、現場が感じている課題は一致しないことがあります。

経営者は「社員の意欲が低い」と感じていても、社員は「指示が曖昧で優先順位が分からない」と感じているかもしれません。

面談やアンケートを通じて、業務上の困りごと、無駄な作業、判断に迷う場面を確認します。

社員の意見をすべて採用する必要はありませんが、経営判断に必要な情報として聞くことが大切です。

方法3 業務の流れを可視化する

仕事を受注してから納品、請求、入金に至るまでの流れを書き出します。

誰が、いつ、何を行い、どこで確認や承認が必要なのかを整理すると、手戻り、二重入力、待ち時間、属人化などが見えてきます。

AIやデジタルツールを導入する場合も、先に業務の流れを整理しなければ、非効率な仕事をそのままデジタル化するだけになります。

方法4 顧客の声と行動を確認する

売上の問題を社内だけで考えるのは危険です。

問い合わせが減ったのか、商談化率が下がったのか、契約率が低下したのか、リピートが減ったのかによって、改善策は異なります。

失注理由、解約理由、顧客からの質問や不満を集めることで、自社では気づきにくい課題が見えてきます。

方法5 「なぜ」を繰り返して根本原因を探る

問題が見つかったら、「なぜ起きたのか」を繰り返します。

社員のミスが多いのはなぜか。確認不足だから。では、なぜ確認できないのか。手順が決まっていないから。なぜ手順がないのか。担当者任せになっているから。

このように掘り下げると、個人の注意力ではなく、業務の仕組みに根本原因があることが分かります。

経営コンサルタントとしての考察

経営改善では、優れた解決策よりも、正しい課題設定の方が重要です。

問題を社員の能力や努力だけに求めると、職場は疲弊します。経営課題は、財務、営業、業務、組織、人材を分けて考えるのではなく、それぞれのつながりを見る必要があります。

数字に表れた結果と、現場で起きている事実の両方を確認することが、正しい判断につながります。

企業が今後取り組むべきこと

最初から大規模な改革を行う必要はありません。

毎月の数字を確認する、社員へのヒアリングを行う、主要業務を書き出す、顧客の失注理由を集めるなど、小さな分析から始められます。

その上で、経営への影響度と緊急度を基準に、取り組む課題を一つから三つに絞ります。

まとめ

会社に現れている問題は、根本原因ではなく、結果である場合があります。

経営課題を正しく見つけるには、数字、社員、業務、顧客、原因の深掘りという五つの視点が必要です。

対策を急ぐ前に、「私たちは本当に正しい問題を見ているだろうか」と問い直すことが、経営改善の第一歩になります。

「日々の経営・社会ニュースについての発信はこちら」として、伊藤 弘典|note