「会社の数字は税理士に任せているから大丈夫」
そう考えている中小企業経営者は少なくありません。
もちろん税理士は、税務申告や会計の専門家として企業経営に欠かせない存在です。しかし、経営者が必要としているのは、過去の数字を正しくまとめることだけではありません。
「半年後に現金はいくら残るのか」
「この設備投資をして大丈夫なのか」
「あといくら借りても返済できるのか」
「来期の利益を増やすために何を変えるべきか」
こうした未来の経営判断を財務面から支える役割を担うのがCFOです。
中小企業で外部CFOが注目される背景
2026年版中小企業白書では、財務・会計、原価管理、資金繰りなどの「経営リテラシー」の重要性が取り上げられています。人手不足やコスト上昇など経営環境が変化するなか、経営者自身が数字を把握し、意思決定へつなげる力が一段と重要になっています。
しかし、中小企業が常勤CFOを一人採用することは簡単ではありません。
そこで、必要な範囲だけ社外の財務専門家にCFO機能を担ってもらう「外部CFO」が選択肢になります。
外部CFOが担う7つの具体的な役割
第一は、資金繰りの見える化です。
現在の預金残高を見るのではなく、3か月後、6か月後、1年後まで予測します。
第二は、月次決算の経営活用です。
売上、粗利益、固定費、営業利益などを整理し、「なぜ利益が増減したのか」を経営者と確認します。
第三は、金融機関対応です。
融資を申し込む段階だけではなく、普段から事業計画や資金計画を整理し、金融機関へ会社の状況を説明できる体制をつくります。
第四は、資金調達戦略です。
銀行融資だけでなく、必要に応じて保証制度、補助制度、出資なども含め、企業の状況に適した資金調達を検討します。
第五は、予算・経営計画の策定です。
「来年は売上を10%増やす」といった目標だけで終わらせず、人員、原価、設備、資金まで数字へ落とし込みます。
第六は、投資判断です。
新規採用、設備投資、新店舗、新規事業などについて、「できるか」ではなく「投資に見合った成果が期待できるか」を検討します。
第七は、経営者の意思決定支援です。
これが最も重要だと私は考えています。
外部CFOは「経理の外注」ではない
経理の仕事は、すでに起きた取引を正確に記録することが中心です。
一方、CFOが見るのは未来です。
過去の数字 → 現在の問題 → 未来の意思決定
へとつなげます。
経営支援をしていると、「数字を持っていない会社」より、「数字はあるのに経営判断に使えていない会社」のほうが多いと感じます。
外部CFOの本当の役割は、資料を増やすことではありません。
会社の数字を、社長が判断できる情報へ変えることです。
中小企業がこれから取り組むべきこと
まず確認してほしいのは、次の3点です。
「6か月後の預金残高を予測できるか」
「毎月の利益が増減した理由を説明できるか」
「今後必要な資金額を説明できるか」
この3つにすぐ答えられないなら、財務管理を見直す余地があります。
2026年には、月次で財務状況や資金繰りを把握することで経営変化の予兆を早期に捉える新たな保証制度も始まっています。経営においても、「問題が起きてから数字を見る」のではなく、「数字から問題を予測する」ことが重要です。
まとめ
中小企業に必ず常勤CFOが必要というわけではありません。
しかし、
資金繰りを見る人
経営計画を数字にする人
銀行と話す準備をする人
投資判断を数字で検証する人
という「CFO機能」は、企業が成長するほど必要になります。
外部CFOとは、単なる財務担当者ではありません。
経営者の隣で、会社の未来を数字から考える存在です。
「日々の経営・社会ニュースについての発信はこちら」として、伊藤 弘典|note

