会社の業績を改善したいと考えたとき、多くの経営者が最初に考えるのは「売上を増やす」「経費を削減する」「人を採用する」「AIやITを導入する」といった具体策です。
しかし、経営改善で重要なのは、施策の数ではありません。
何から、どの順番で改善するかです。
特に中小企業では、人材、資金、時間が限られています。だからこそ最初の90日をどう使うかが、その後の改善を大きく左右します。
経営課題は一つではない
経営改善が難しい理由は、問題が複雑につながっているからです。
例えば「売上が伸びない」という問題でも、営業力だけが原因とは限りません。
既存顧客の離脱、利益率の低い商品構成、営業担当者の事務負担、情報共有不足、管理職の機能不全など、別の場所に原因が存在することがあります。
資金繰りについても同じです。
売上不足ではなく、売掛金の回収条件や過剰在庫、低い粗利益率、借入返済などが現金を圧迫している場合があります。
だからこそ、表面に見える問題へすぐ対策するのではなく、会社全体を見る必要があります。
1〜30日目は「会社を知る」
最初の30日で行いたいのが現状把握です。
最低でも「財務」「顧客・売上」「業務」「組織・人材」の4つを確認します。
財務では、売上だけでなく粗利益、営業利益、固定費、借入金、資金繰りを見る。顧客については、誰が何を買い、どの商品・顧客が利益を生んでいるのかを確認します。
さらに、誰がどの仕事を担当しているのか、どこに時間がかかっているのか、特定の社員に依存していないかも可視化します。
この段階では、急いで答えを出す必要はありません。
まず会社の「現在地」を正確に把握します。
31〜60日目は「課題を絞る」
問題を洗い出したら、すべてを同時に解決しようとしてはいけません。
重要なのは優先順位です。
私は経営改善では、特に「利益への影響」「資金繰りへの影響」「緊急性」「改善可能性」の4つから考えることが重要だと考えています。
例えば10個の問題が見つかっても、最初に取り組む課題は2〜3個に絞ります。
会社の成長を止めている最大のボトルネックは何か。
ここを特定することが経営改善の重要なポイントです。
61〜90日目は「仕組みに変える」
課題が決まったら改善を実行します。
業務フローの変更、会議の見直し、KPI設定、マニュアル化、権限移譲、AI・ITによる自動化など、課題に合わせて施策を選びます。
ここで重要なのは「一度改善して終わり」にしないことです。
誰が担当するのか、いつまでに行うのか、何をもって改善と判断するのかを決めます。
改善を「人の頑張り」ではなく「会社の仕組み」に変えていくのです。
経営改善とは会社の問題解決能力を高めること
経営コンサルタントとして多くの企業を見る中で感じるのは、経営改善とは単なるコスト削減や売上アップではないということです。
本当に強い会社は、問題が起きない会社ではありません。
問題を早く発見し、原因を考え、改善し続けられる会社です。
生成AIやDXも、そのための手段として使えば大きな力になります。
経営改善を考えているなら、いきなり新しい施策を始める必要はありません。
最初の30日で会社を知る。
次の30日で課題を絞る。
最後の30日で仕組みに変える。
経営改善は、「何をするか」を考える前に「何から始めるか」を決めることから始まります。
「日々の経営・社会ニュースについての発信はこちら」として、伊藤 弘典|note

