融資面談で銀行が知りたいのは、決算書の数字だけではない

資金調達・財務

銀行から融資を受ける際、多くの経営者が決算書、試算表、資金繰り表などの資料を準備します。

もちろん、これらは重要です。しかし、資料を提出すれば融資面談の準備が終わるわけではありません。

銀行との融資面談で重要なのは、経営者自身が会社の数字と今後の経営について説明できることです。

銀行は数字の「背景」を確認している

決算書を見れば、売上高、利益、借入金、純資産などは分かります。

しかし、数字だけでは分からないことがあります。

例えば売上が前年より10%減少していた場合、

「なぜ売上が下がったのか」
「一時的な要因なのか」
「今後回復する見込みはあるのか」

といった背景までは決算書だけでは判断できません。

そこで重要になるのが経営者の説明です。

融資面談で説明したい7つのポイント

私は、融資面談の前に少なくとも次の7項目を整理しておくことが重要だと考えています。

1.現在の業績

売上、利益、粗利益、資金繰りなど、現在の会社の状態を説明します。

2.数字が変化した理由

売上や利益が増減した理由を説明できるようにします。特に業績が悪化している場合、その原因を把握していることが重要です。

3.必要な融資額

「とりあえず1,000万円」ではなく、なぜその金額が必要なのかを明確にします。

4.資金使途

運転資金、設備投資、採用、仕入れなど、借りた資金を何に使うのかを具体的にします。

5.返済原資

融資は借りることが目的ではありません。将来の利益やキャッシュフローなど、何を原資として返済するのかを説明します。

6.今後の事業計画

今後どのように売上や利益をつくっていくのか。受注見込み、営業施策、設備投資の効果なども整理します。

7.経営上の課題と対策

課題がまったくない会社はほとんどありません。大切なのは課題を隠すことではなく、把握したうえで対策を考えていることです。

問題は「赤字」だけではない

融資面談というと、「悪い数字をどう説明するか」を考える経営者も少なくありません。

しかし、本当に問題なのは赤字そのものだけではありません。

経営者が「なぜ赤字なのか分からない」「来期どう改善するのか決まっていない」という状態の方が、経営管理上は大きな問題です。

数字が悪化していても、原因と改善策が整理されていれば、銀行との対話は具体的になります。

融資面談は経営を整理する機会になる

資金戦略を考えるうえで、私は融資面談を単なる「銀行からお金を借りる場」と考えるべきではないと思っています。

自社の現在地を整理し、

「会社は今どこにいるのか」
「なぜ資金が必要なのか」
「その資金で何を実現するのか」
「どのように返済するのか」

を一本のストーリーとして説明する機会です。

これは、そのまま経営計画を整理することにもつながります。

まとめ

銀行との融資面談で重要なのは、資料の量ではありません。

会社の数字、資金使途、返済計画、将来の事業計画がつながっていることです。

銀行に説明するために会社の数字を整理する。

その過程で経営者自身も自社の課題や未来を再確認する。

融資面談をそのような機会として活用することが、より強い財務体質と銀行との長期的な信頼関係につながっていくのではないでしょうか。


「日々の経営・社会ニュースについての発信はこちら」として、伊藤 弘典|note