「銀行に融資を申し込んだものの、希望した金額を借りられなかった」
中小企業を経営していると、このような場面に直面することがあります。
しかし、融資を断られた理由を「銀行が厳しいから」で終わらせてしまうと、本当の問題を見落とす可能性があります。
金融機関が確認しているのは、単純な売上や利益だけではありません。返済能力、財務体質、資金使途、今後の事業計画、そして経営者が自社の状況をどこまで把握しているかなど、複数の要素から判断しています。
原因1 返済できるだけの利益とキャッシュフローがない
融資で最も重要なのは「借りたお金を返せるか」です。
売上が大きくても利益がほとんど残っていなければ、返済原資は十分とは言えません。
また、帳簿上は黒字でも、売掛金や在庫が増加して現金が不足しているケースがあります。
経営者は売上高だけでなく、営業利益、経常利益、現預金、キャッシュフローなどを確認する必要があります。
原因2 借入金が多く財務体質に不安がある
すでに多額の借入金がある会社へ追加融資を行う場合、金融機関は既存借入を含めた返済能力を確認します。
ここで重要になるのが自己資本や借入金とのバランスです。
「いくら借りられるか」だけではなく、「現在の利益水準でどこまで返済できるのか」を把握することが重要です。
原因3 資金使途が曖昧
「運転資金として1,000万円必要です」
これだけでは、金融機関も融資の妥当性を判断しにくくなります。
何に、いつ、いくら必要なのか。その資金によって会社がどう変わり、どのように返済するのか。
設備投資なら見積書や投資効果、運転資金なら売上・仕入・入金・支払いの流れなど、必要額の根拠を説明できる状態が理想です。
原因4 経営者が会社の数字を説明できない
決算書を税理士任せにしている経営者も少なくありません。
しかし金融機関との面談では、「なぜ利益が減ったのか」「借入金は何に使ったのか」「来期の売上はどうなるのか」といった質問を受けます。
すべての会計知識を持つ必要はありません。
大切なのは、自社の重要な数字とその理由を自分の言葉で説明できることです。
原因5 銀行への相談が遅い
資金が底をつく直前になってから銀行へ相談すると、選択肢は狭くなります。
金融機関から見れば、「なぜもっと早く分からなかったのか」という経営管理上の問題にもつながります。
資金繰り表を作成し、少なくとも数カ月先の現金の動きを把握しておけば、早い段階で相談できます。
融資対策は「借りる技術」ではなく経営改善
私は、融資対策の本質は銀行に提出する資料をきれいに作ることだけではないと考えています。
財務状況を把握し、資金繰りを予測し、事業計画を作り、経営者自身が数字を説明できる会社にすること。
これはそのまま経営管理の強化につながります。
融資を受けやすい会社を目指すことは、金融機関に評価されるためだけではなく、変化に強い会社をつくることでもあるのです。
まとめ
融資を断られる会社には、返済余力、借入過多、資金使途、経営者の説明力、相談時期という共通する課題があります。
大切なのは、お金が必要になってから銀行との関係をつくることではありません。
月次で数字を確認し、資金繰りを予測し、将来の資金需要を把握する。
銀行融資への最も有効な準備は、日頃から「数字で経営できる会社」をつくっておくことではないでしょうか。
「日々の経営・社会ニュースについての発信はこちら」として、伊藤 弘典|note

