「運転資金として1,000万円借りたい」
銀行にそう伝えれば、すぐに融資の話が進むわけではありません。
銀行が知りたいのは、希望金額だけではなく、「なぜ必要なのか」「その金額は妥当なのか」「どう返済するのか」という会社のお金の流れです。
運転資金融資を受けるためには、銀行がどこを見ているのかを経営者自身が理解しておく必要があります。
運転資金とは何か
運転資金とは、会社が事業を続けるために必要なお金です。
仕入代金、人件費、家賃、外注費などの支払いは、売上代金が入金される前に発生することがあります。その時間差を埋めるためにも運転資金が必要です。
そのため、売上が伸びている会社でも資金需要は発生します。
むしろ売上拡大によって仕入や人員が増え、必要な運転資金が大きくなることもあります。
銀行が見る7つのポイント
1.資金使途
最初に重要なのが「何に使うお金なのか」です。
単に「資金繰りが厳しいから」ではなく、仕入増加、人件費、売掛金回収までのつなぎなど、具体的に説明する必要があります。
2.必要金額の根拠
「念のため1,000万円」では説得力がありません。
月商、売掛金、買掛金、在庫、固定費などから、なぜその金額が必要なのかを示します。
3.返済能力
融資で最も重要なポイントの一つです。
利益だけではなく、実際に返済原資となるキャッシュを生み出せるかが問われます。
4.現在の借入状況
既存借入金の残高や毎月の返済額も確認されます。
新しい融資を加えても無理なく返済できるのかを見るためです。
5.資金繰り
預金残高だけではなく、今後数か月のお金の動きも重要です。
資金繰り表を作成しておけば、「いつ」「なぜ」「いくら必要になるか」を説明しやすくなります。
6.業績と財務内容
売上、利益、純資産、借入金など決算書の内容も当然確認されます。
ただし、一時的に業績が悪いだけで融資が必ず難しくなるとは限りません。悪化した理由と改善策を説明できることも重要です。
7.経営者の説明力と事業の将来性
私はここを非常に重要だと考えています。
金融機関に提出する数字と、経営者の説明が一致しているか。会社の課題を把握し、今後の改善策まで考えているか。
銀行との信頼関係は、こうした日頃の情報共有からつくられます。
銀行融資は「お願い」ではなく「説明」
運転資金の融資というと、「銀行にお金を貸してもらう」という発想になりがちです。
しかし、経営者が本当に準備すべきなのは、お願いの仕方ではありません。
自社の現状、必要資金、資金使途、返済計画、将来の事業計画を数字で説明できる状態をつくることです。
そのためには、決算書だけでなく、試算表、資金繰り表、借入金一覧、売上計画などを日頃から整備しておくことが重要です。
まとめ
運転資金融資で銀行が見ているのは、「現在お金があるか、ないか」だけではありません。
銀行が判断したいのは、この会社が今後も事業を続け、利益とキャッシュを生み、借入金を返済していけるのかという点です。
だからこそ、資金が苦しくなってから銀行へ相談するのではなく、余裕のある段階から資金繰りを予測し、金融機関と情報共有しておくことが大切です。
運転資金の融資対策は、単なる「借り方」の問題ではありません。
自社のお金の流れを経営者自身が理解することこそ、資金に強い会社をつくる第一歩です。
「日々の経営・社会ニュースについての発信はこちら」として、伊藤 弘典|note

