会社を経営していると、売上、利益、資金繰り、借入、設備投資、採用など、お金に関する判断が次々に発生します。
ところが、多くの中小企業では、こうした重要な判断を社長一人が担っています。経理担当者や税理士はいても、将来の資金計画や投資判断まで相談できる相手がいない会社は少なくありません。
そこで注目されているのが、外部CFOの活用です。
外部CFOとは何をする人なのか
CFOは、最高財務責任者を意味します。
経理担当者が日々の入出金や帳簿を管理し、税理士が申告や税務を支援するのに対し、CFOは財務の視点から経営判断を支えます。
具体的には、資金繰り予測、予算管理、利益改善、資金調達、金融機関対応、投資判断、経営リスクの管理などを担当します。
外部CFOは、この機能を正社員として採用するのではなく、社外の専門家に必要な範囲で依頼する仕組みです。
なぜ中小企業に必要なのか
中小企業を取り巻く経営環境は、以前より複雑になっています。
原材料費や人件費の上昇に加え、賃上げ、設備更新、DX、生成AI、人材採用など、将来に向けた投資も求められます。中小企業庁も、成長を目指す企業では、経営戦略を実行する人材の確保が重要であると指摘しています。
しかし、経験豊富なCFOを常勤で採用することは、採用面でもコスト面でも簡単ではありません。
外部CFOであれば、月数回の経営会議、月次の財務分析、資金調達の準備など、会社の課題に合わせて専門性を活用できます。
外部CFOを活用する7つのメリット
第一のメリットは、資金繰りを先読みできることです。
現在の預金残高を見るだけではなく、数カ月先の入出金を予測し、資金不足が起きる前に対応できます。
第二は、利益が残らない原因を把握できることです。売上、粗利益、固定費、部門別収益などを分析し、改善すべき場所を明確にします。
第三は、金融機関への説明力が高まることです。金融庁は金融機関に対し、決算書だけでなく、事業の特性や経営改善の可能性も踏まえて支援するよう求めています。
そのため、企業側が事業計画や資金の使い道を具体的に説明することが重要になります。
第四は、投資判断の精度が上がることです。新規事業、設備、採用、広告、AI導入などの投資を、期待だけでなく回収可能性から検討できます。
第五は、社長の意思決定が速くなることです。必要な数字が整理されていれば、感覚だけに頼らず判断できます。
第六は、社内の数字に対する意識が変わることです。売上だけでなく、粗利益、営業利益、在庫、回収期間、キャッシュフローを見る文化が生まれます。
第七は、経営者の孤独を減らせることです。重要なお金の判断を一人で抱えず、専門家と議論できるようになります。
外部CFOは資金調達の代行ではない
外部CFOを「融資を受けるための人」と考えるのは十分ではありません。
本来の目的は、借りられる会社をつくることではなく、借りた資金を利益と成長に変え、返済できる経営体質をつくることです。
資金調達はゴールではなく、経営戦略を実行するための手段です。
企業が今後取り組むべきこと
まずは、月次で損益と資金繰りを確認できる状態をつくることです。
次に、1年後から3年後までの売上、利益、投資、借入返済を数字に落とし込みます。そのうえで、実績と計画の差を毎月確認し、必要な対策を決めます。
AIやクラウド会計を導入するだけでは、経営は自動的に改善しません。集めたデータをどのように判断へ結び付けるかが重要です。
まとめ
外部CFOの価値は、決算書を読むことだけではありません。
会社の数字を整理し、経営者の考えを計画に変え、必要な資金を準備し、実行後の成果まで確認することにあります。
お金に困ってから相談するのではなく、成長したいと考えたときに活用する。
外部CFOは、会社のお金を管理する人ではなく、会社のお金を未来に変える経営パートナーなのです。
「日々の経営・社会ニュースについての発信はこちら」として、伊藤 弘典|note

