銀行から融資を受ける際、「事業計画書を作った方がいい」と言われることがあります。
しかし、大切なのは資料を作ること自体ではありません。
銀行が確認したいのは、きれいな文章や立派なデザインではなく、**「この会社は将来どのように利益を生み、借入金を返済していくのか」**という経営の道筋です。
事業計画書は「未来の決算書」
決算書が過去の経営結果を表す資料だとすれば、事業計画書は会社の未来を数字で表現する資料ともいえます。
銀行が融資を判断する際には、これまでの売上や利益、純資産、借入状況などが重要です。
一方、融資はこれから返済されるものです。
そのため、過去の実績だけではなく「今後どうなるのか」という視点も必要になります。
問題は「数字」より「数字の根拠」
例えば、
「来期売上1億円」
「前年比120%」
「営業利益1,000万円」
と書くだけなら簡単です。
しかし銀行が知りたいのは、
「なぜ、その数字になるのですか?」
という部分です。
新規顧客が20社増えるのか。
単価を上げるのか。
新商品を投入するのか。
営業担当者を増員するのか。
売上計画には、必ず具体的な根拠が必要です。
銀行から評価される7つのポイント
事業計画書を作る際は、少なくとも次の7項目を整理します。
- 現在の会社の状況
- 今後取り組む事業・施策
- 売上計画とその根拠
- 利益計画
- 必要となる資金
- 資金使途
- 返済原資と資金繰り
特に重要なのが、利益計画と資金繰りを分けて考えることです。
利益が出ても売掛金の回収が遅ければ、手元資金が不足する可能性があります。
したがって事業計画書は、損益計画だけでなく資金繰り表と組み合わせることで、より説得力が高まります。
中小企業こそ事業計画書を経営に使う
事業計画書を「銀行に提出するための書類」と考えてしまう経営者は少なくありません。
しかし私は、むしろ経営者自身のために作るべき資料だと考えています。
計画を作る過程で、
「本当にこの売上を実現できるのか」
「人員は足りるのか」
「設備投資はいくら必要なのか」
「半年後の現金はいくら残るのか」
といった問題が見えてくるからです。
AIで作れる時代だからこそ重要なこと
現在は生成AIを使えば、事業計画書の構成や文章案を短時間で作成できます。
これは非常に便利です。
ただし、AIが作った文章をそのまま提出するだけでは十分ではありません。
自社の顧客数、単価、粗利益率、人件費、設備投資、借入返済など、実際の経営データを反映し、経営者自身が説明できる計画にする必要があります。
まとめ
銀行から評価される事業計画書とは、「立派な資料」ではありません。
数字と経営戦略がつながり、その数字になった理由を経営者が説明できる資料です。
そして事業計画書の本当の価値は、融資を受けることだけにありません。
会社がこれからどこへ向かい、何に投資し、どのように利益と現金を残していくのか。
それを経営者自身が考えることにあります。
銀行に提出するためではなく、会社の未来を経営するために事業計画書を作る。
この考え方が、結果として金融機関からの信頼にもつながっていきます。
「日々の経営・社会ニュースについての発信はこちら」として、伊藤 弘典|note

