企業が成長して社員が増えてくると、経営者一人ですべての社員を見たり、すべての判断をしたりすることは難しくなります。
そこで重要になるのが管理職です。
しかし、中小企業を支援していると、「管理職にはしたけれど、具体的に何を任せればいいのか分からない」という会社を少なくありません。
管理職は、単に部下を管理する人ではありません。
私は、管理職には大きく5つの役割があると考えています。
1.会社の方向性を現場の仕事に変える
経営者が「売上を伸ばしたい」「顧客満足を高めたい」と話しても、それだけでは社員は具体的に何をすればよいのか分かりません。
管理職には、経営方針を、
「今月は何をするのか」
「誰が担当するのか」
「何をもって成功とするのか」
という具体的な仕事へ変換する役割があります。
つまり、経営と現場の翻訳者です。
2.チームの成果をつくる
管理職自身が誰よりも仕事をすることが、必ずしも良いマネジメントではありません。
重要なのは、メンバーが動きやすい環境を整え、チーム全体として成果を出すことです。
仕事の優先順位、役割分担、進捗、問題点を整理し、「誰か一人が頑張らなくても成果が出る状態」をつくる必要があります。
3.部下を育てる
管理職がすべて判断している組織では、いつまでたっても部下は育ちません。
答えを教えるだけではなく、
「あなたはどう考える?」
「次はどうすればいいと思う?」
と問いかけ、自分で考える機会をつくることも管理職の仕事です。
現在、管理職の悩みでは人材育成や部下との関係が大きなテーマになっています。
4.経営と現場をつなぐ
経営者には現場で起きている問題がすべて見えるわけではありません。
逆に社員にも、経営者がなぜその判断をしたのか分からないことがあります。
この情報格差を埋めるのが管理職です。
会社の考えを現場へ伝えるだけでなく、現場の課題や耳の痛い情報を経営へ上げることも重要です。
5.仕事の仕組みを改善する
これから特に重要になるのがこの役割です。
AIやDXが普及する中、「今までこうしていたから」という理由だけで仕事を続ける会社は、生産性を上げにくくなります。生成AIについても、日本企業では活用が広がる一方、成果につなげることが課題になっています。
現場を最も理解している管理職こそ、
「この仕事は必要か」
「もっと簡単にできないか」
「AIに任せられないか」
を考える必要があります。
経営者がすべきこと
ただし、管理職にこの5つを求めるだけでは不十分です。
現在は管理職の業務過多や候補者不足も課題になっています。
だからこそ企業は、
役割を明確にする
権限を渡す
不要な仕事を減らす
育成する
評価基準を整える
ところまで設計しなければなりません。
管理職を育てるとは、研修を一度行うことではありません。
「管理職が成果を出せる仕組み」を会社としてつくることです。
強い会社には、強い社長だけでなく、経営と現場の間で組織を動かす管理職がいます。
管理職を変えることは、組織そのものを変えることなのです。
「日々の経営・社会ニュースについての発信はこちら」として、伊藤 弘典|note

